小児歯列矯正
小児歯列矯正は歯科医によって矯正治療の考え方に違いがあるのが現状です。
歯が生えそろってから治療しましょう!という意味の中には、
①歯並びの悪さが軽度であり様子を見ましょう
②重度のため小臼歯を抜歯して成人矯正をしましょう
という考えがあります。当院では、小児の顎骨の成長、歯の生え変わり時期を利用して正常な成長に導くための矯正治療をします。過剰歯の抜歯の治療も当院で対応することができます。
小児矯正のメリット
低学年には顎関節がほとんどみられず、永久歯列以降に発現しやすい
歯並びだけでなく、顎関節、筋組織、咬合、鼻腔形態、咽頭部の成長が正常な方向に向かうように行う
容姿の美しさは自己と社会的認識に影響する。早期治療をすれば外観が改善されるため、特に思春期前の子供には重要
歯槽骨の成長時(骨が柔らかい時)に形態改善し、永久歯の萌出スペースを獲得することにより永久歯の抜歯を避ける
早期治療すれば問題が大きくならない
正常な骨、筋などの成長を促す
小さい頃より矯正をすることにより、歯への関心が高まり、将来の虫歯、歯周病の予防に繋がる
永久歯歯列になってから治療するよりも治療が容易
上顎前突は怪我をしやすい
矯正治療終了後の歯の後戻りが少ない
年齢が低いほど骨が柔らかく歯との抵抗が少ないため、痛みが少なく、取り外し可能なものや単純化した矯正装置の使用ができる
前歯は見た目に重量な役割を持ち、整っていない子供に精神的問題を起こす場合がある。早期に改善すれば自信につながり、嫌な思いをせずにすむ
取り外し式、固定式、被せ物型、ブラケット型などの様々な装置がある
小児矯正は矯正装置が単純であり、診察時間も短いため永久歯矯正(成人矯正)に比べ治療費が軽減される
小児矯正(1期治療)の目標
永久歯の萌出スペースを確保する
永久歯の萌出の基準となる中切歯、側切歯と第一大臼歯を正常な位置に並べる
これにより後から生えてくる永久歯の萌出を正常な方向へ導く
理想的な歯の隙間
5歳 永久歯の萌出前
すきっ歯になってるのが良い
7歳 前歯の永久歯の萌出中
小児矯正症例
小児期の矯正治療の開始時期
小児の顎骨の成長、歯の生え変わり時期を利用して矯正治療をします。
正常な成長に導くための治療です。
永久歯の萌出と顎の成長が完了する前に開始します。
5~7歳ぐらいがベストで、10歳頃まで治療可能です。
1番はお子様のやる気が大事になりますが、やる気を盛り上げていくために、担当医はもちろん、他のドクターやスタッフみんなで応援してモチベーションを上げて治療していきます!
心配事はご相談ください。
反対咬合の場合は3、4歳より開始します。
低位舌(舌の位置が正常より低い)が原因であることが多く、舌のトレーニングから始めます。
上顎と下顎の成長ピークは同時期ではなく、上顎が先に大きくなります。成長期に反対咬合であると上顎が大きくなれずに、成長が終わってしまいます。よって反対咬合はできるだけ早めの改善が必要です。
小児期の経過観察と成人矯正治療
歯科医師により矯正治療開始時期の考えに差があり、治療方針が統一されていないのが現状です。治療方針として小臼歯の抜歯を選択肢として考え、小児期に行うことが可能な歯槽骨の整形を考えていない歯科医師もいます。このような歯科医師は永久歯が全部はえて落ち着いてから治療しましょうと提案しています。
矯正治療をはじめる時期はそれぞれ個人差がありますが、成長が止まった時期にはじめるよりも成長中(歯が生えそろう前)にはじめた方が優位になることが多いです。不正歯列のまま成長すると人間の体は不正歯列に合わせて、骨や筋肉が成長してしまいます。
それにより、顎関節の左右差ができてしまい顎関節症になってしまったり、嚙み合わせの左右差や姿勢バランスの平衡性が悪くなったりします。とくに、反対咬合においてはできるだけ早い矯正治療の開始が重要です。経過観察をしているだけでは改善することもなく、どんどん悪化します。
悪化してしまってから矯正すると、治療が複雑化したり、完治するのは難しくなることもあります。
左右の顎関節に形態的な差がある成人の
レントゲン写真
成人の反対咬合。歯だけでなく骨格的にも
上下反対の形になってしまう。
嚙み合わせの左右差がもたらす、身体への影響
左右の嚙み合わせの高さに差があると姿勢が悪くなります。左右の嚙み合わせの高さに差があると顎関節がずれ、低い方に顎が傾きます。顎が傾くとこれに接合する側頭骨内の三半規管が傾きます。
三半規管は平衡性を感知する器官なので、身体は平衡性を保つために頸椎を曲げてバランスを保ちます。
これにより、肩や腰の高さに左右差が生じます。嚙み合わせが身体に影響を及ぼすのはこのためです。
適応と代償が生じる前に治療することが理想的です。
嚙み合わせの高さの左右差により骨格がずれる
小臼歯抜歯矯正による咬合平面の不調和とトラブル
咬合平面の不調和により、大臼歯部の著しい咬耗、多発する詰め物の脱離、再発を繰り返す虫歯、顎関節症が認められます。
青色の丸の中を見ると顎関節の左右差が見られます。これは顎関節症を招きやすくなります。
赤色のラインを見てみると、咬合平面が移行的でなく、骨格と調和が取れておらず、奥歯が高くなっています。
奥歯だけでしかかみ合っていないため、奥歯の過荷重を起こして、極度のひび割れやすり減りが起こり、何度も歯の治療を繰り返してしまう原因となります。
小児矯正の流れ
患者様の気になること、将来の心配なことをお聞きし、口腔内の現状と成長予想を説明いたします。治療方法、治療期間、治療費などについてお話しします。
※相談と同日に虫歯チェックや歯のクリーニングをご希望の場合は保険治療で行います。
診断と治療計画を立案するために必要なレントゲン写真、顔面および口腔内の写真、歯型の採取、咬合診査、虫歯および歯周組織の検査、問診などを行います。この検査 をもとにコンピューターを用いて詳細な分析を行い、最良の治療計画を立案致します。
料金:11,000円(税込)※矯正治療費に含まれます。
治療計画、治療プログラムに問題がなければ、患者様の同意のもと治療プログラムの承認を行います。
※虫歯は矯正治療の前に必ず治しておきます。
料金:22,000 円(税込) ※矯正治療費に含まれます。
歯の模型を作り、矯正装置を作製します。取り外し可能な装置または固定式装置をお子様の性格や症状に合わせ選択します。
※公的医療保険が適用されない治療法(自由診療)となります。
標準的な費用:350,000円(税込) ※検査、矯正装置、調整代込み
矯正治療の進展に伴い、歯並びの再検査を行います。
経過観察、新しい装置への移行、矯正の終了を決めます。
成長の誘導が正常に向かい始めたら、矯正装置を終了し、すべての永久歯の萌出が完了するまで経過を見ていきます。状況に応じて、新たな矯正装置を装着することもあります。必要に応じて、DBS 2 × 4で治療します。
前歯の角度や奥歯の高さの調整をして、永久歯の萌出に備えます。
2 × 4法は小児矯正治療に含まれます。
経過観察、第2期矯正治療(成人矯正治療)への移行、矯正の終了を決めます。
※小児矯正は機能的な改善が治療の目的です。
小児矯正治療Q&A
- 矯正治療の治療期間はどのくらいかかりますか?
- 6か月~ 36か月です。はじめた年齢や症状の程度、矯正装置の1日の装着時間、通院ペースに影響をうけます。
- 矯正の痛みはどの程度ですか?
- 歯を指で強めに押しているぐらいの力がかかります。咬んだり、指や舌で歯を押すと痛みを感じますが、しばらくすると歯が動き、痛みが軽減します。特に矯正装置のネジを回した直後は違和感や痛みがあります。
ワイヤーの場合は2、3日後に痛みがでやすいです。
当院ではゴムメタルワイヤーを使用していますので従来のステンレスワイヤーに比べ痛みがかなり軽減されます。
- 矯正治療の通院ペースを教えてください
- 基本的に、3週間に1度のペースで矯正の変更・調整をします。
矯正装置を付けはじめた序盤などは、痛みの確認、装置の脱落の確認、歯ブラシの確認で 1週間後に来院していただいています。
- 矯正が痛い場合の対処方法を教えてください?
- 床矯正装置の場合ある程度の我慢が必要です。しばらく痛みを我慢して装着していると治まってきます。もしそれでも改善しない場合はご連絡いただき来院してください。なお、ご自身でのネジの逆回転はしないようお願いします。
ワイヤーや装置が痛い場合はプロテクターワックスをお使いいただき、ご連絡ください。
- 矯正中の食事制限はありますか?
- 床矯正の場合特にありません。ただし、床矯正を付けたままのご飲食は虫歯、装置の破折の原因になるのでおやめください。
ワイヤー矯正の場合、硬いお煎餅、氷の塊などは装置の脱離や痛みの原因になりますので控えてください。
着色しやすいカレーなどはワイヤーを固定しているゴムが変色するので、気を付けてください。変色しても体には害はありません。(どうしてもカレーが食べたいときは来院する前日などに食べるといいかもしれません。)
- 矯正中の歯ブラシはどうすればいいですか?
- 矯正中は歯ブラシが難しくなります。歯科衛生士が丁寧に歯ブラシの仕方を指導させていただきます。また、通院の際に歯ブラシの確認とホームケアのアドバイスをいたします。
- 矯正中に虫歯、歯周病になることはありませんか?
- 矯正中は通常より虫歯、歯周病になりやすいです。そのため、矯正治療を開始する前に虫歯と歯周病の治療を必ずおこないます。
万が一、矯正中に虫歯を見つけた場合は早急に治療します。
また、歯の汚れが著しい場合、歯のクリーニングをします。
- 何歳までに矯正をはじめればいいですか?
- 6~7歳ぐらいではじめるのが良いです。成長の個人差があるので、一概に年齢で判断をすることはできませんが、犬歯が生えてくる前の前歯4歯が生えそろう前に開始するのが良い結果になります。
- 矯正治療の後戻りはおきますか?
- 小児矯正治療終了後の歯の後戻りはほぼおこりません。
ただし、矯正治療中の中断などがあった場合は後戻りがおきます。
- 子どもが4歳で反対咬合(受け口)です。
気をつけることがありますか?どうすればいいですか? - 3歳から治療が可能です。反対咬合は見つけたらすぐに治すことをおすすめします。思春期に下顎の急速な成長が始まりますので、その前に対策をします。
- 1期治療で矯正を終了できますか?
- 1期治療のみで終了する患者様もいますが、不正歯列の程度、晩期の開始により 2期治療に進むこともあります。
- 他院で永久歯が萌出するまで様子を見ましょうと言われました。
本当にそのままでいいですか? - 小臼歯の抜歯矯正を前提に矯正治療をする場合は経過を見ていても良いですが、小臼歯を抜かない矯正を希望される方は一度ご相談ください。